第18回 岡大サイエンスカフェ開催報告
| 開催日時 | 平成22年6月24日(木) 18:00~19:40 |
| 開催場所 | 岡山大学創立五十周年記念館 2階 |
| テーマ | サンゴ礁から地球環境をみる ~太平洋・インド洋の環礁国より~ |
| 講 師 | 岡山大学大学院教育学研究科 菅浩伸 教授 (専門分野:自然地理学) |

開催概要
| 冒頭、曽良副学長から「H16年に国立大学が法人化され、教育と研究とともに重要な役割として社会貢献があり、本学では公開講座やこのサイエンスカフェを開催しています。今年も研究成果の発表の場として2ケ月に一回開催しますので皆さんにはリピータになってこれからも参加いただきたい。」と挨拶がありました。 | ![]() |
| 以下は菅先生のお話です。
先ずは、大勢の高校生の皆さんに参加いただき大変嬉しいとの前置きから始まり、今回初めて、開催前からのスライドショウとBGMで少しでもカフェらしい雰囲気を盛り上げる試みについて触れ、当初のBGM曲には「カフェというよりバーでは」との指摘を受け選曲見直ししたとの裏話がありました。 |
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研究範囲は日本の沖縄(琉球列島)を始め世界のサンゴ礁を対象にしていること、日本では数少ない水中ボーリング機械を自分で作り、フィールドワークとしてサンゴ礁の岩盤からその成り立ちや年代を調査していること、本日お見せする写真は、自身で撮影したオリジナルなものが殆どです、との自己紹介がありました。 前半はサンゴ礁の紹介をし、後半はモリディブやツバルの環礁国で、今何が起こっているのかに重点を置いて、話を進めるとの予告がありました。 |
| サンゴといえば桃色サンゴのような宝石を思い浮かべる皆さんが多く「研究室は宝の山ですね」と言われることが多いが、宝石サンゴと今日話題にするサンゴは全く異なる。サンゴはイソギンチャクの仲間であり、共生している藻類(褐虫藻)から光合成による養分を受け成長したもので、サンゴのさまざまな色は褐虫藻の色が表れたものである。この褐虫藻が死滅するとサンゴは白くなる白化現象を起こす。 サンゴの群集が地形を作る。サンゴ礁の縁は凹凸に富んだ地形がつくられ,そこでは波を砕き豊かなサンゴ群集がみられ,中心となる島の周りには浅く静かな礁湖(ラグーン)を湛える。サンゴ礁の外側は深く落ち込む礁斜面の地形になっている。 サンゴ礁の分布・構造を最初に調査したのはダーウインで、「種の起源」を発表する前の1835年にビーグル号でフレンチポリネシア(タヒチ)の島々を航海し、これまで船乗りから暗礁として恐れられていたサンゴ礁を観察しながら、その成り立ちについて、裾礁→堡礁→環礁と中央島が沈み込んで環礁ができるとの仮説(沈降説)を立て、それはいまでも生きている。サンゴ礁の下には火山があり、ホットスポットでできた火山が地球のプレートの動きで移動しながら沈んでいる様子はハワイ列島でも顕著に見られる。 |
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「サンゴ礁を構成する砂は、サンゴ、貝類等生物起源のもので、有孔虫からできた星砂などがあり、風化によって積み上がって火山の島となり、その上に植物が繁殖するのである。
フレンチポリネシアのタヒチ島では、中央にあるボラボラで火山岩の砂は黒いが,サンゴ礁が発達した堡礁や環礁では生物起源の白い砂が観察できる。 マーシャル諸島マジュロ環礁は、空からでも向こう側が見えないくらい大きく、ボーリング調査等から、表面は膠結作用で結晶化し鋼が折れるくらい硬いのに、内側は波が通り抜けるほどガサガサの状態であることが判った。この島では約2万人の住人が、空港の雨水を蓄えたり、硬い岩を石材として外洋側の防波堤としたり、浅いラグーンを埋め立てたりといった国土開発が行われている。 |
| ここで休憩に入り、司会者から菅先生の著書「温暖化と自然災害」の割引販売案内があり、一部の参加者が購入されました。
後半は環礁で今何が起こっているのかをテーマに、先生が実際現地を見た上での報告。 先ずは、観光地でダイバー憧れのインド洋のモルディブ諸島と、今問題となっている海面上昇の関係についての話。1200の島から成り、うち人が住む200の島には観光客が立ち入りできず全く別扱いになっている。ここでスマトラ島が震源地のインド洋津波の調査を行い43島で住民からの聞き取りを含めた被害状況を調べ、北にある島では波は間隙の多い環礁の地形をすり抜けたのに対し、南の島では連続した環礁縁のため波が陸上に遡上し被害が大きくなったことが判った。島の標高が1~2mで平坦な地形のため、津波による地形への影響も、堆積物の残跡もなかったが、家屋等の人工構造物は脆弱なことが判った。1960年のチリ地震の時を含め、これまで環礁を襲った津波に関する記録はなかったが、今回津波の予兆現象や住民の避難状況について調査できた。 |
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首都マーレでは、これまで海岸を埋め立てて面積を増やして2km2の土地に10万人が生活しており、1987年の高潮被害に対しては、日本からの援助で防波堤を築いて解決を図ったが、それと並行して港や廃棄物処理場を建設することで、防波堤の近くの地下部で、岩盤のクラックという別の災害が発生しており、海面上昇に気を取られ地下の構造に注意が払われていないのが恐ろしい。 |
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次いでツバルでは、空港建設で必要な盛り土の土砂採取等で地形が大幅に壊変されている。住民の居住地は後からの入居者ほど低く、時には大潮の潮位より低い土地に住んでいる。ツバル政府は周囲を防波堤で囲ってほしいというが、もう少し違う方法があるのでは? 週2便の空路で観光客や報道関係者が訪れるが、日本での報道は事前に作られたシナリオに合う映像を撮る姿勢があるように見受けられる。 ツバルやキリバスにおける現在の海面上昇実測値は約5mm/年で、これらの島に危険が迫っているが、このように地球規模で抱えるグローバルな問題と、住民の住み方に関わるローカルな問題に直視することの重要性を強調された上で、最後にキリバス共和国北タラワでののどかで豊かな、昔ながらの電気のない生活の映像で締めていただきました。 |
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最後の質問時間には、若い高校生の皆さん等からの質問に答えていただきました。 閉会に先立ち、次回第19回の案内が司会者からアナウンスされました。 今回は、これまでで最も多くの皆さんに参加いただき盛況に終えることができました事、厚くお礼申し上げます。 社会連携本部 松浦啓克記 |







