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サイエンスカフェ

第17回 岡大サイエンスカフェ開催報告

開催日時 平成22年4月22日(木) 18:00~19:40
開催場所 岡山大学創立五十周年記念館 2階
テーマ 生物と機械 ~工学から見た生物~
講 師 岡山大学自然科学研究科(工学部) 
産業創成工学専攻 鈴森康一 教授
(専門分野:アクチュエータ、メカトロニクス)
会場の看板写真

開催概要

 冒頭、曽良副学長から「岡山大学はH16年に法人化された時に始めた中期計画の6年間が過ぎ、今年は第2期中期計画の最初の年で、大学の使命である研究・教育・社会貢献の3本柱の1つである社会貢献の一環としてのサイエンスカフェを今年も年6回開催予定 ですので、これからも皆さんの参加を期待しています。」と挨拶がありました。

 以下は鈴森先生のお話です。
岡山大学に赴任して10年になり、その前には民間企業、通産省の研究機関での在籍もあって、「産官学」の経験があるとの自己紹介から始まりました。
 テーマにある、生物は「自然界のなかで神様が創ったもの」、機械は「人間が作ったもの」であるが、本日は工学の立場から機械を生物の動きと対比して考えることとし、生物の中でも特に動物について話をすすめることとしたい。
鈴森先生
 生物を学んで機械設計のヒントを得る例」として、新幹線500系車両形状がカワセミのくちばしが、オリンピックで話題になった高速水着がサメの肌がヒントになったこと、「機械工学から生物を理解する例」として、恐竜の歩き方がロボット工学から導き出されたこと、特に後者については、以前は恐竜が立って歩行している図案が一般化していたが、最近では工学から導かれた結果として水平に近い姿勢になっている。この変化を確かめるために先生は上野の国立科学博物館を訪ねたが、恐竜が立っているとの情報とは異なり、残念ながら?工学的判断を採り入れた水平姿勢に変更されていた。
  機械がその大きさで設計が変わる(スケール効果)例として「アリとゾウ」、「パチンコ玉と地球」での説明があり、同様なことが液体の中でも慣性力と粘性力との影響から起こり、具体例として「大腸菌とクジラ」での説明があった。
会場写真  「ミクロ構造により発現する機能」として、ハスの葉での撥水性、テントウムシの足での摩擦、タマムシでの構造色などの具体例が示され、摩擦に関しては低摩擦ゴムを利用したマイクロ受動歩行への応用、構造色については光の干渉によって起こるものであり、特殊な衣料に応用されていることの説明があった。
 「ミクロ構造により発現する機能」として、ハスの葉での撥水性、テントウムシの足での摩擦、タマムシでの構造色などの具体例が示され、摩擦に関しては低摩擦ゴムを利用したマイクロ受動歩行への応用、構造色については光の干渉によって起こるものであり、特殊な衣料に応用されていることの説明があった。
ここで休憩時間となり、持参いただいた機械部品サンプルを前に参加者の皆さんが集まって先生からの説明、質疑がありました。
 後半の話は「歩くこと」が中心との前置きで、先ずは4足歩行の例としてウマの静歩行、動歩行、さらには速歩(trot)、襲歩(gallop)の比較があり、ほかの四足動物についても説明がありました。先生はこのサイエンスカフェを前にして上野動物園も訪れてシロクマ、シマウマ、カメ、ゾウ等多くの動物の歩き方を確かめられ、前半でお聞きした国立科学博物館訪問と併せて、先生の熱心さが伝わりました。 質疑の様子
 次いでゴキブリを例にして、昆虫類の6脚歩行は3脚が交互に動くこと、ムカデのような超多脚歩行、ウナギなどの足のない動物の索状移動の例も説明がありましたが、これを応用して先生が開発した複数分割管を有するゴムチューブが内視鏡検査へ適用できることが放映されたNHKテレビ番組を再現していただきました。
 人間の動きでもある2脚歩行については、ロボットがひざを曲げた独特な姿勢が、関節を伸ばした特異姿勢を避けるという工学的理由によること、人間はひざでは1自由度だが股関節では2~3自由度があることで、ひざを伸ばす姿勢が可能になる。
テニスプレーヤーの写真

脚でも腕でも体中心に近い関節の自由度が大きいのは、自由度を大きくするためには関節周辺の靭帯を含めた構造が大きくなってしまうことによる。テニスプレーヤの受けの姿勢で、杉山愛選手がひざを曲げ、伊達公子選手がひざを伸ばしている面白い写真の比較がありました。
形状の最適化は、機械設計ではコンピュータシミュレーションで行うが、動物の骨の形状についても、加わる外力によって発生する微弱な電流と造骨のメカニズムによって最適な形状に落ち着くことが、シミュレーション結果と一致することから検証できる。

 生物と機械をつなぐ学問体系はバイオメカニズム、バイオミメティックと呼ばれる領域で、これらは「自然・真理の美しさ」が認識できるものである。例として恐竜の姿とベイブリッジの類似性、工学で用いるクロソイド曲線が川の蛇行やヘビの曲線と類似、フィボナッチ数列がヒマワリの種の配列、巻貝の形状に準じる等が示され、まとめとしていただきました。
 予定時間を少し延長していましたので質問は1つだけ、「筋肉の機能について」に対し、先生からは、それも先生の専門分野で、アクチュエータとしての工学への応用は、動物のような高効率(体積あたりの出力の大きさ)には及ばないとの説明がありました。

 閉会に先立ち、次回第18回の案内が司会者からアナウンスされました。
今回は雨天のなか、大勢の皆さんにお運びいただき盛況に終えることができました事、厚くお礼申し上げます。
                                         社会連携本部 松浦啓克記