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サイエンスカフェ

第12回 岡大サイエンスカフェ開催報告

開催日時 平成21年6月25日(木) 18:00~19:30
開催場所 岡山大学創立五十周年記念館 2階
テーマ 環境に優しい野菜の栽培方法
    ─1本の紐(ひも)─
講 師 岡山大学大学院自然科学研究科(農学系)  
桝田 正治 教授

開催概要

 最初に、曽良副学長から「本日は県内外から大勢の方々、特に若い高校生も多数お越しいただきました。事前申し込みも50名以上の盛況で、個人的に知人からの申し込みもお断りした次第です。桝田先生の“ひも”の技術は学内でも有名で、環境に優しいテーマですし、大学の使命の一つである社会貢献の取り組みの中で、サイエンスカフェは最も和気あいあいの雰囲気ですので大いに楽しんで下さい」との挨拶がありました。

 以下は桝田先生のお話です。


 冒頭、園芸学を専攻して、岡山大学に来て22年、7年前から本日のテーマである「防根給水ひも」に取り組んでいる、との自己紹介がありました。
 植物には水と肥料が欠かせないが、なかでも水が欠乏したときのダメージは肥料に較べて致命的で、植物を育成する立場からは給水に対するストレスは強く、そこから解放される事は重要である。
 植物への水やりには、地表からと地下からがあるが「防根給水ひも」は、地下でしかも側面からのひも給水という手法がポイントで、植物に主体性を持たせ、自律吸水するに任せる方法である。
 そもそもひもを用いた底面からの給水は1970年代の後半に岐阜農試の渡辺氏により考案され、80年代の中頃より急速に普及し改良が重ねられ、特にシクラメン鉢に多く採用されたが、これらの方法では底面からの吸水ひもに植物の根が侵入し、長期間の使用に耐えられない欠陥があった。
 この問題解決に向けて、桝田先生は、毛管ひもを遮根透水シートで封入する「防根給水ひも」を開発し、材質の選定、毛管サイズの選定、ひもの封入・シール方法、給水面レベル等の最適条件を見出し、現在は実用化段階に達している。
 唯一当面解決すべき課題としては、成長過程で先端部の摘心により、それに近い3~4段目に果実の腐れが発生しやすい事である。

 ここで休憩に入り、その間に先生へ質問する方もおられました。また、会場入り口に展示された、本方式により栽培されたトマト苗の実物を見学される方もおられました。併せて、収穫されたトマトを1袋づつ、参加の皆さんに試食用としてお渡ししました。

 再開後、ひもの機能特性と装置の開発の説明があり、家庭・校庭向けと農業生産向けの2方式があり、いずれも「水の要求を植物に委ねる」との思想に基づいた「環境負荷低減型栽培装置」であることが再度強調されました。これまでは植物を管理することに主眼(喜び)が置かれ、植物が持つ能力を発揮させることを怠ってきたのではないかとの視点が示されました。
本方式の例として、トマト、メロンの栽培事例の説明があり、一例として家庭・学校での栽培装置は、側面に穴を持つ鉢、“ひも”、1.8Lペットボトルの組み合わせで可能である。
 最後に先生から、「自然時間軸」の概念が示され、地球温暖化に伴う山肌に現れる雪形の年毎の変化(例として白馬の雪形)も、植物に任せた給水方法としてひもによる水の輸送量の変化も、気温・日照・風・雨・湿度等の気象の総合的な影響を受ける、という共通点で繋がっており、先生はこれからも「白馬の雪形」の変化も植物の自律吸水もライフワークとして関心を持ち続けたいと、話しを締めくくられました。

 以上が先生からのお話で、その後参加者といくつかの質疑応答がありました。カッコ内は先生からの回答(一部)です。

  • ひもの構造は?(20~50μmの毛管の束を遮根シートに収めたもの)
  • 細菌等による目詰まりの心配は?(水道水使用のため殆ど心配ない)
  • 給水する水の温度の影響は?(水でなく鉢の周辺温度が決め手)
  • このひもは市販されているか?(いる)
  • 吸水量と果実の量の関係は?(一例として、水の利用率は97%)
  • 1本の苗から収穫される数とその品質は?(大玉トマトで40個、中玉トマトで 80個の例がある)
  • 必要な温度管理は?(トマトで8~30℃、メロンで15℃以上)

 閉会に先立ち、次回第13回の案内が司会者からアナウンスされました。
今回も大勢の皆さんにお運びいただき盛況に終えることができました事、厚くお礼申し上げますと同時に、定員を大きく超えた参加者で少し窮屈であったことをお詫びいたします。

社会連携本部 松浦啓克記

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曽良副学長の挨拶
入口案内ボード


沖先生のお話
曽良副学長の挨拶


参加者の皆さん
桝田先生のお話


先生に質問される参加者
参加者の皆さん


参加者の皆さん
トマト


参加者の皆さん
参加者の皆さん


入口案内ボード
試食用トマトを参加者の皆さんに

入口案内ボード
トマトを観察する参加者

入口案内ボード
参加者の皆さん