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サイエンスカフェ

第11回 岡大サイエンスカフェ開催報告

開催日時 平成21年4月23日(木) 18:00~19:30
開催場所 岡山大学創立五十周年記念館 2階
テーマ 雑草よもやま話 
─雑草は害草それとも害草?─
講 師 岡山大学大学院環境学研究科(環境理工学系)  沖 陽子 教授

開催概要

最初に、曽良副学長から「岡山大学が法人化され、使命の一つである社会貢献の一環としての岡大サイエンスカフェはH18、H19年度に各3回、H20年度に4回開催して、本年度は6回の開催を予定しています。本日のテーマは日頃身近にある雑草で、講師の先生はその分野のご専門ですので大いに楽しんでください」との挨拶がありました。


以下は沖先生のお話です。
始めに「緑がまぶしい季節になりましたが、おなじ緑でもあまり歓迎されない雑草がテーマですが」との前置きの後、雑草の定義から話しが始まりました。
 立場によって違うが、専門家は「望まない所に生育する植物」とするのに対し、熱心なアマチュアは「まだ発見されていない価値をもつ植物で、総てが悪者との考え方はナンセンス」、生態学者は「第二次的遷移(サクセッション)の先駆者」と比較的好意的な定義づけをしている。確かに「望まない所に云々」は農耕地を対象にすれば的確な定義であり、先生はこの両面性をもつ雑草に学生時代から遊ばせて貰っている、との自己紹介でした。
 一例としてジャガイモ畑に生えたトマトは雑草?との問いかけに、今時の学生は即座に
「雑草」と答えるのに対し年輩層では一概に雑草とは思わない、と相反する評価である。
 雑草と作物の相互関係を考える時、人間が農耕地を作って植物の生育環境を攪乱し、更には植物間での交雑の結果、攪乱を受けていない山野草と品種改良が加えられた作物の間に、人里植物、耕地雑草が分布する結果となる。そこには外国からの帰化植物も多く存在し、時系列的に「史前帰化植物」「旧帰化植物」「新帰化植物(江戸末期以後)」に分類されるが、多くは終戦後の帰化であり、これらは「新々帰化植物」と呼ぶべきではないかとの先生のご意見。また帰化植物の侵入経路は、港湾、空港、植物園、園芸店等が多いなか、「恥ずかしながら」大学も結構多いと、立場上言い難くそうな説明がありました。
 次いで生物学的な特徴の説明があり、生き残り戦略として、発芽、開花等急速な成長、他の植物を排除する様な、時には自己制御する物質を出す能力(アレロパシー)、環境変化への対応が素早い能力、時には休眠状態をうまく利用して種子の寿命を長くする等の特質が示されました。
 また雑草の害については、作物の生長阻害や品質の低下、作業の妨げなどあるが、それ以上に有害物質の生成や有害昆虫、線虫、病原菌の寄主になることが要注意である。
 
ここで休憩に入り、その間に先生へ質問される方もおられました。

 再開後、防除方法について「生態的」「機械的」「物理的」「生物的」「化学的」の多方面からの手段の説明がありました。戦後除草剤2-4Dがアメリカから入り防除法は劇的に変化したが、根絶は出来なくとも「生態的」は耕種的な操作を加える古くからある手法で、今、環境保全から再度、注目されている防除法である。「物理的」ではマルチシートが主流で、効果的な色としては、寒冷地では保熱効果がある黒に対し、温暖地では雑草の光合成を阻害する緑、また虫を寄せつけない色としてシルバーも使われる。「生物的」では食物連鎖の上位のもの、即ち天敵を使用する訳で、外来種に対する外来天敵の運用は耕地での生態系を乱すため、日本では認められていない。海外では昆虫による成功例が多い。
以前は「雑草は抜きなさい」式で、そこにはサイエンスが全くなかったが、環境面から雑草を資源と見る視点により、「日本雑草学会」の中に「学術研究部会・雑草利用研究会」が発足し、先生が世話人をされておられる。この雑草利用は、防除学→調節学→管理学→利用学の流れの結果であり、この概念は輪廻転生とも言えるとのご説明があった。
今から遡る大正8年に、日本の植物学の先駆者である牧野富太郎は雑草の食用、薬用への利用に言及しており、その先見性に驚かされる。
現在考えられる雑草利用の具体例としては、

  • バイオマス資源:特に水生雑草の単位面積当たりの収穫量(乾燥生産量)は多い
  • 土に埋め込み土壌改良:炭素源としての活用
  • 水質浄化:NASAで開発され、他の手段と併用するのが良い(窒素、リンの除去)
  • アクアシステム:アメリカで進んでいる
  • バイオエナジー:穀物が利用されている現状から、雑草利用に転換できれば良い
  • 動物の飼料:栄養分が多すぎるので、30%までの混合比に抑えるのが望ましい
等があり、自然農法を含め環境に役立つ自然循環型、環境保全型としての利用が望ましい。
外来種については、明治以降のものに対して環境省が2004年特定外来植物を制定しているが、現状から見るとボタンウキクサ、ホテイアオイを例にして、在来種に対する影響、リスクは時間軸の概念で考えなければいけない、との警鐘を鳴らされた。
最後に、先生の研究室で取り組んでいる児島湖の人工干潟の説明があった。2002年から湖岸の一部に、浚渫泥を使用して作った干潟にヨシ、フトイ、ヒメガマ等を植生した結果、植物群落ができ、周辺の水質浄化により貝、エビが蘇り、最近は魚、野鳥が多くなってきており、学生達の努力が実った。
以上が先生からのお話で、その後参加者といくつかの質疑応答がありました
  • 新たに美味しい食物が見つからない? 雑草は美味しさに対しては負のインパクトを与える、耐寒性や病害虫に強い特性が付与されることはあるが、五大作物の後はまだない
  • 雑草の有効利用に対する予算の配分? 農水省はバイオマスに対して、経産省はクリーンエネルギに対して配分があり、それに近いテーマで地道に要求を続ける必要がある
  • 家庭規模での雑草の利用方法? 根ごと抜いたものを乾燥して土に埋めて炭素源として利用、食用の利用(一例:ヨシの新芽を乾燥、粉末にしてクッキーに混ぜたら美味しく、ビールに合う/研究室の学生のアイデア)

 先生は雑草に対し、最も進化した賢く頭が柔らかい植物で、我々を楽しませてくれていると、こよなく愛する姿勢に終始し、正に「熱心なプロフェショナル」の印象でした。

 閉会に先立ち今後の予定として、次回第12回、次々回第13回の案内が司会者からアナウンスされました。今回も大勢の皆さんにお運びいただき盛況に終えることができました事、厚くお礼申し上げます。                社会連携本部 松浦啓克記

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曽良副学長の挨拶
曽良副学長の挨拶


沖先生のお話
沖先生のお話


参加者の皆さん
参加者の皆さん


先生に質問される参加者
休憩時間 先生に質問される参加者


参加者の皆さん
質問コーナー 先生に質問される参加者


参加者の皆さん
参加者の皆さん


入口案内ボード
入口案内ボード